山と旅と自転車と

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常念岳

【日付】09/05/02-03

【地域】北アルプス(長野県)

【ルート】一ノ沢登山口-常念小屋-常念岳-北西斜面-常念小屋(泊)-東天井岳-一ノ俣谷滑降-常念小屋-一ノ沢登山口

【天気】5/2晴、5/3晴のち曇

【メンバー】桐浴(RSSA)

【コースタイム】
5/2 一ノ沢登山口駐車場08:41-常念小屋13:52~14:20-常念岳15:33~15:48-(北西斜面滑降)-一ノ俣合流点16:05~16:16-常念小屋
5/3 常念小屋06:48-東天井岳09:00~09:12-(一ノ俣谷滑降)-合流点手前100m09:36-(高巻)-合流点10:04~10:26-常念小屋11:36~11:57-(一ノ沢滑降)-滑降終了点1,900m12:37~12:46-一ノ沢登山口駐車場14:36

【登高高度】5/2約1,800m、5/3約670m、計約2,470m【滑降高度】5/2約580m、5/3約1,150m、計約1,730m

【概念図】

【概要・写真】

GWの予定は間際まで決まらなかった。従って今回も一人旅となった。予定は常念岳大天井岳を山小屋2泊で滑りまくろうというもの。

5/1 仕事を終え、夜中に大津の自宅を出発するが、高速道路休日割引のため、大渋滞。途中パーキングで3時間ほど仮眠をとるが、一ノ沢登山口駐車場についたのは2日の朝、8時を過ぎていた。

5/2 登山口の随分手前の駐車場から歩き始める。はじめは雪もないだろうからスニーカーで、兼用靴はハの字にザックに取り付けたスキー板のビンディングに装着。この恰好、道幅が広いと案外楽だ。登山口で計画書を提出。しばらくは山道も幅が広くそのままのスタイルで歩くが、1,600mあたりで雪が現れだし、兼用靴に履き替える。しかしスキーが使えるほどではない。さらに歩き、1,900mあたりの沢を渡ったところから、雪渓が繋がり、シールを付けての登高となる。途中、2,100mあたりから傾斜もきつくなるが、クトーを取り付け登り切る。途中、常念岳の北東斜面が見えたが、迫力満点だ。

 

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一ノ沢登山口付近から 横通岳

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常念岳・前常念岳の鞍部へ突き上げる沢

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常念岳北東斜面

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横通岳方面へ突き上げる沢

常念小屋には2時前に到着、チェックインを済ませ、余分な荷物を部屋におき、常念岳に登る。登山道はほとんど雪が吹き飛ばされ、ツボ足である。あまり遅くなると表面がクラストしてしてしまわないか心配だったが、頂上に到着した時は天気も良く、風もほとんどなく、ほどよい雪の堅さであった。ここから見る北東斜面はかなりの傾斜だ。地図のコンタを測ると、去年滑った唐松沢Dルンゼより平均斜度では上回っている(机上の計算では平均約35度)。ほぼ同じような傾斜で一気に700m程続く。明日または明後日、果たしてここを滑れるだろうか?少しの不安が脳裏をよぎる。
まず、今日は北西斜面だ。こちらはほどよい傾斜(机上の計算では平均30度弱)が続いている。一気に飛び込み、大回り、小回りのターンを自在に決める。途中ゴルジュ状の箇所があるが、若干慎重に地形をみて滑り降りる。心配した雪が途切れることもなく、一ノ俣谷との合流点に到達。あとはシールを付けて小屋までひと登り。こちらも雪がうまく繋がっており、小屋の脇に出る。夕飯には余裕で間に合った。

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常念山頂 正面に槍

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常念岳より槍ヶ岳

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常念岳 北西斜面

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常念岳 北西斜面

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常念岳 北西斜面

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常念岳 北西斜面

5/3 本来の予定は大天井岳から二ノ俣谷、東天井岳から一ノ俣谷を滑る予定であったが、天気は大きな崩れはないものの、ゆっくりと下り坂になるとのことで、予定変更。大天井岳はカットで、今日中に下山。
まずはゆっくり東天井岳に向かう。登山道沿いをツボ足で進む。東天井岳は、一般の登山道から少しだけ外れているが、ともかく頂上に上がる。
頂上から一ノ俣に雪渓は切れ目なく続いている。この雪渓は上部がカール状になっていて、気持ちよさそうなスロープだ(机上の計算では上部で平均20~25度)。雪質を確認しながら、斜面に飛び込む。雪は適度な堅さで、なかなか滑りよい。カール状地形を抜けるとV字谷になるが、それなりに滑る幅は確保されている。
快適にどんどん滑っていくと、斜面が緩やかになり、やがて流れが顔を見せる。しばらく何とかやり過ごすが、あと100mというところで、滑れなくなった。高巻きしなければならない。もっとも沢の流れは緩やかで、万が一落ちても大事には至らないだろう。だが、こんな時、一人では心細い。スキーとストックをザックに取り付け、ピッケルをもって高巻き開始。雪が硬いわけではないが、アイゼンとピッケルがあれば心強い。約30分の格闘で合流点に。

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横通付近から常念岳 右が北西斜面

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東天井岳付近で 雷鳥

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東天井岳から穂高連峰

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東天井岳から槍ヶ岳

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東天井岳 一ノ俣谷上部

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東天井岳 一ノ俣谷上部

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一ノ俣谷合流点から高巻き地点を見る 右を巻いた

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一ノ俣谷合流点から乗っ越し側の沢 流れが少し見える

しばらく休憩のあと小屋に向かって出発。こちらの沢は少し流れが見えているものの、ルートをしっかり見ていけば、問題なくスキーで登高できる。やがて昨日の合流点に、そしてトレースを拾いながら常念小屋に到着。
それまでの薄日が消え、少し風が吹いてきた。急激に崩れることはなさそうだが、ここは頂上から北東斜面の滑降は取りやめとしよう。少しでも硬くなると滑りたくない斜面だ。
ゆっくり休憩して、小屋前の鞍部から滑り降りることに。ここからは登山者がいるので、別の意味で慎重に滑らないといけない。スキーではどうしても小さなバームクーヘン状のローラーボール(雪カタツムリ)を落とす。それが小さくても登山者は気になるものだ。斜面の幅が狭いところでは、登山者に謝りながら、階段下降した。今日の雪では、こうすればほとんど雪は落ちない。少し幅が広くなると自由に滑ることが出来る。ただそれもあっという間で、直ぐにデブリ攻撃である。がたがたの斜面に石を踏まないように、慎重に下る。やはりここはスキーで下るところではなさそうだ。やがて雪渓も途切れ、板を担いで2時間弱の歩きで登山口に。
少し不満が残る部分もあったが、常念岳の北西面と、東天井岳の一ノ俣谷を滑降でき、今回も満足の山行でした。