AJ北海道主催のブルベ「2016年北海道1200km大会」に参加しました。
86時間半、無事完走しました。
データ
距離:1204.2km(AJ北海道キューシートより)
最大標高差:858m(AJ北海道投稿ルートラボ(往復)より)
獲得標高:8598m(カシミールによる)
日時:2016年7月15日 05:22:29~ 2016年7月18日 19:59:59
所要時間:86時間37分30秒
平均速度:13km/h
概要
昨年のPBP(パリ-ブレスト-パリ、1200km)では、800km弱で、あえなくDNFとなりました。
今回はそのリベンジ。再び1200kmにチャレンジしました。
■初日(7月15日)札幌-北見
開会式が行われる、札幌つどーむ
続々と参加者が集まってきます。台湾やアメリカ、オーストラリアなど、海外からの参加者も1/4程度います。総勢で200名位。PBPに比ぶべくもないですが、国内のブルベとしては大きな大会です。4時20分からブリーフィング、アナウンスは日本語、英語、中国語、国際色豊かです。
5時になりました。次々と出発!。
参加者が多いので10分ごとの出発。私は5:30組です。
札幌市内の郊外を走り抜けると、やがて緩やかな丘陵地に入って、当別ダム湖。美しい光景が広がります。
そして、通過チェックポイント、吉野公園入口。
新十津川を越え北竜町。ここはひまわりの里として知られたところ。道に看板が出ていました。楽しみに走っていたのですが、一向にひまわりは見えてきません。じつは広大なひまわり畑は国道から少し入ったところなのです。残念ながらルートである国道275号線からは何も見えませんでした。少しがっくり。後半なら寄り道したかも知れませんが、ここは1分1秒でも早く走りたいところ。そんな余裕はありませんでした。
気を取り直して沼田、深川と進むと、やがてPC1のセイコーマート深川多度志店。
今後、このセイコーマートには大変お世話になります。どんな田舎にもありました。もっとも♪セイコーマート♪が耳について離れなくなります。
そして旭川へ。郊外の国道12号線のバイパスを通ります。ビュンビュン車の通る横を走らなければなりませんが、比較的路肩が広いので、多少は救われます。
我慢のR12を過ぎ、国道40号線を比布。といえばピップエレキバン。樹木希林の出ていたユーモラスなコマーシャル(1980年頃?)を脳裏に浮かべながらひたすら進みます。
このあたりから大雪山が見えるはずですが、厚い雲に覆われ、残念ながら見ることはできませんでした。かつて山スキーで、旭岳を滑ったこと、さらに溯って、学生の時重いテントを持って厳冬期のサロベツ原野を徒歩で縦走し、そのあと、黒岳のスキー場ではじめてスキーをしたことなどを思い出しながら、進みます。
石北本線に沿って走る
愛別、上川、と進むと次のコマーシャルは高梨沙羅のセブンイレブン。沙羅ちゃんの実家だそうですが、果たしてどこなんだろう。見かけたら絶対に立ち寄ろう、などと思いながら走りますが、いっこうにそれらしい店舗は見当たりません。あとで調べると、今回のルート上ではなく層雲峡の方だそうです。そうこうするうちに北見峠の急登にさしかかります。休憩しそこねてしまったのです。しかたなく登りにさしかかったところで立ち止まって、非常食としてシートポストバッグに入れておいた「一本満足」を2本食べました。
やがて北見峠。急登でしたが、いわゆる激坂ではありません。
北海道の峠には、看板があまりないとのことですが、ここにはありました。ただ少し高いところ。
そして一気に坂道を下ります。
やがてPC2、セブンイレブン遠軽豊里店。あたりは暗くなってきました。あと一踏ん張り。
ここから低い峠を越えて北見のPC3。北見市自然休養村センターに到着。午後10時半。予定よりずいぶん早く着きました。
(写真は翌朝)
チェックをすませ、食事。豚汁が用意されていました。そしてお風呂。ドロップバッグに入れていたパンツに履き替えます。お風呂もドロップバッグも大変たすかります。そして就寝。大広間での雑魚寝です。でも蒲団が用意され快適でした。
■二日日(7月16日)北見-納沙布岬-別海
朝は4時少し前起床。ブルベとしては十分な睡眠をとりました。
ポスターが貼られていました
そそくさと朝食を食べ、4時半出発。
北見から小さな峠を越え美幌町。
白樺並木の真っ直ぐな道を進みます。
道は徐々に高度を上げ、やがて美幌峠。
おそらく屈斜路湖が見えるはずですが、霧で何も見えません。
そして屈斜路湖へ向けてダウンヒル。チラッ、チラッと湖が見えますがフォトポイントを見つけられないまま、通り過ぎてしまいました。
そして釧路川沿いの道へ。
今から四半世紀ほど前、20代後半の私はカヌーに乗っていました。折りたたみ式のフォールディングカヤックというタイプです。釧路川はあこがれの地、カヌーイストの聖地でした。湖岸にテントを張り、しばらく屈斜路湖周遊などして遊びました。どこだったか水中から温泉が湧き出ているところがあり、カヌーでその地点に行き、広大な湖で温泉気分にひたりました。そしてカヌーで釧路川下り。弟子屈まではジャングルのような(上の写真のような)所を下り、そして牧草地帯、湿地帯、最後に太平洋に出て、海から釧路に上陸、という最高の川下りでした。
そんなことを思い出しながら、弟子屈、標茶、別海、と進んでいきます。周囲は牧畜が盛んな地域。同じ様な風景の中、ひたすら進んでいきます。
PC4は別海町民体育館。
もう根室海峡は近くです。厚床からしばらく行くと、汽水湖の風蓮湖が見えてきました。
そして温根沼大橋。ここから根室半島に入ります。
PBPの折り返し地点ブレスト入口、ブレスト湾に架かる橋を思い出しました。
あのときは、食べ物を胃が受け付けず、疲れ果てて、もうここまで来たら満足。適当なところでDNFなどと考えていましたが、今日は何の問題もなし。絶好調です。ただ折り返しの納沙布岬までは結構距離があります。そして小さなアップダウンをいくつも越えていかねばなりません。
やがて根室市街。ここでちょっと寄り道です。ドラッグストアを見つけました。さきほど何の問題もない、といいましたが、じつは出発前から痔に悩まされていました。たいしたことはなかったのですが、ここに来てサドルにまたがりにくくなってきました。「プリザエース」を購入し、早速その店のトイレに直行。プラシーボ効果もあるのでしょうか。なんだかすぐによくなってきました。
根室市街を越え、緩やかなアップダウンをいくつか越えていくと、納沙布岬です。
ここで通過チェック。そして食堂に入ってカニイクラ二色丼を注文。
これまでコンビニ食ばかりだったので、ここでご褒美です。
一般人が訪問可能な日本最東端地点という、微妙な場所です。
さて、ここから折り返し。根室市街を越えると、夕空が美しく輝きはじめました。
温根沼大橋
夜の帳がおり、しばらくすると別海到着です。時間は午後8時半。ここはPC5。カレーを鱈腹食べ、シャワーを浴び、そして就寝。大きな体育館で、好きなところに寝られました。
■三日目(7月17日)別海-かなやま湖
朝は2時過ぎ起床。朝からカレーをおかわりし、いざ出発です。
牧場の中の真っ直ぐな道を進みます。あまりの変化のなさに、十分な睡眠のはずでしたが、少し眠気がでてきました。こんな時はおしゃべりしながら走るのが一番です。運良く途中でもう一人と合流でき、弟子屈までずっとしゃべりながら走っていました。おかげで眠気も吹っ飛び、本来のペースで進むことができました。
弟子屈から屈斜路湖の近くを通り、美幌峠。深い霧で相変わらず何も見えません。
美幌への下りは快適な道。
今日の写真はこれしか有りません。
そしてPC6北見市自然休養林センター。ここでは昼間っからお風呂に入り、ドロップバッグに入れていた新しいジャージーに着替えました。食事をとったり、ゆっくりと過ごしました。そして少し来た道を戻り、往路と別れます。
津別から日本一寒い町、陸別へ向かいます。この小さな峠越え、なめてかかっていましたが、これが大変。
向かい風です。峠方向から吹く風で、緩やかな登りなのですがなかなか進みません。なんだか人生を感じます。こんなヤツいるよな~。人が一所懸命にがんばっているとき邪魔するヤツ。そいつの仕事は別にあり、それをすればいいのに、肝心なことはせず、いつも人の足を引っ張ろうとしているヤツ。でも、邪魔されても自分は少しづつ進むしかない、頑張るんだ、などと自分をヒーローに仕立てて、ゆっくり進むと、やがて峠に到達です。ここから下り。バンザーイ、のはずですが・・・。
道はガタガタ。さすが日本一寒い町なので路面が大きく収縮するのでしょうか? また昔は付いていた公共工事予算が削られているのでしょうか? ガタガタ道は、疲れている体に大きな負担です。
ヘトヘトで陸別に到着。少し休憩を入れ、足寄に向かいます。
PC7はセブンイレブン足寄下愛冠店。このあたりに来て小雨が降り出しました。でも上士幌までの道はこれまでに比べ、快適そのもの、登りも何の苦もなく進みました。ダム湖の畔を快走し、やがて上士幌。ここから雄大な景色が広がります。広大な牧草地と森、日本離れした風景だと思いました。が、小雨、霧、夕暮れで写真はありません。士幌、鹿追、そして新得。雨は止みません。ここで狩勝峠の登りにさしかかります。
暗闇の中、雨の中を一人で峠を登ります。道は緩やかな登りですが、なかなかペースが上がりません。ここに来て睡魔も襲ってきました。デタラメな唄を歌ったり、「クソッ」とか「ウ~」とかわけのわからないことを叫びながら登っていきました。そして狩勝峠。深い霧の中です。
ここから下りなのですが、霧が深く道がよく見えません。ゆっくりとセンターラインを確認しながら下ります。金山湖は遙か先です。おそらく天気がよいならば快適な下り坂で一気に到着、ということでしょうが、今日はそうはいきません。
一人で走っていると、不安もよぎります。と、そのとき後ろからひとり追いついてきました。ひと安心。一緒に金山湖まで走りました。
PC8かなやま湖スポーツ研修センター到着は午前2時半。それまでに貯金があったので無難な時間でした。カレーを食べ、シャワーを浴びて、大部屋で就寝。
■四日目(7月18日)かなやま湖-札幌
最終日です。朝6時半頃起床すると、まわりのほとんどの人は出発したあとでした。カレーやメロン、名前が思い出せないが美味しいデザートも食べ、出発です。
このあたりで1000km超、ここからは私にとって未知の領域です。
金山湖
金山トンネルを越えて占冠。
日高峠を越え日高地方へ。日高、平取、そして鵡川へ。
このあたりは競走馬のふるさと、牧場の中を走って行きます。
PC9はセブンイレブン鵡川宮戸店。そこから厚真、安平から千歳へ。
そして恵庭。都市近郊の雰囲気で、札幌は近いな、という気分。到着したような気分になります。が、市街地郊外の国道バイパス。あまり好きにはなれない道を最後の力を振り絞って進みます。
北広島から札幌。あと少しです。
最後は厚別川沿いの緩やかな坂道を登ってゴール。滝野自然学園到着。午後8時。86時間半の自転車の旅でした。
シャワーを浴び、バーベキュウ、そして大部屋でゆっくり就寝しました。
AJ北海道のスタッフの皆さんや、ボランティアの皆さん、ありがとうございました。そして一緒に走った多くの仲間たちに感謝申し上げます。